『自分を知る喜び』

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当時、中学から高校まで私が通っていたピアノ教室は、日本や海外で行われる様々なコンクールに毎年、常に参加・演奏するような生徒さん達が通うような教室でしたが、私はそんな門下生の中ではまったく真逆で練習もせず、上達意欲が持てず毎回レッスンの度に先生には怒られてばかりの生徒でした。

ピアノの練習が嫌で(好きな曲だと別なのですが、毎回先生から宿題でだされる課題の曲を練習することは、まったくやる気が起きない)なので全然上達しない・・・(当時のことを思い出すと教室の先生にも、お月謝を払ってくれていた親にも大変申し訳なく💦)当然、いつ破門されてもおかしくないほどの生徒でしたが、なぜか音楽短大へ入学するまで辞めることにならなかったのは今から思っても不思議なくらいです。

そんな高校生の時のある日、先生から、ある某ピアノコンクールに出るようにと言われ、当時は先生からの指示には絶対逆らえないような雰囲気もあり内心困った〜と思いながらも出る事に。

が、やはりコンクールの課題曲であった「バッハの組曲」の練習にはまったく身が入らず、レッスンもほとんど見てもらえない状況のままコンクール当日を迎え・・・
全国規模のコンクールで北海道地区予選への参加でした。

先生からのコンクールに向けての演奏指導もレッスンもほとんど受ることも出来ずに当日を迎えたので、次々に参加者の素晴らしい演奏が続く中、私は自分勝手な解釈で、自分の内側から湧き起こるそのままのニュアンスの演奏で弾く事に。

審査員は地元のピアノ講師の方々と全国の各地区コンクールに廻られている審査委員長を含む計5、6名くらいだったでしょうか・・・
地区予選が終わり、後日、審査の結果が審査員の採点表と共に自宅に送られてくる流れでした。

郵送されてきた採点表は、どの審査員の先生からも散々足る点数で(確か・・・100点満点中、どの審査員も40点代ぐらい)まったくの練習不足でレッスンも受けずにの状態だったので、点数をみてもショックというより自業自得的に納得。

そんな中、あるひとりの審査員の点数を見て目を疑いました。
私の演奏に90点以上の高得点をつけているのです。

「え~っ!!誰??なぜ??」と驚きながら、その先生の名前を見ると、なんとコンクールの審査委員長!
そして採点表には、ご自身の字で感想も書き加えてあったのです。

そこには「あなたのバッハの曲への解釈は、私も同じです」と一言。

ただ自分の内から溢れる素直な思いだけで弾いた演奏でしたが、それは驚きと共に自分の内にある音楽への表現力を知る大きな喜びとなりました。
他の先生方の評価を含めるとコンクールへの総合結果は全然低いものでしたが、私にとってはひとりの先生から頂いたその言葉だけで自分の魂が幸福感に包まれるほどの充足感でした。

その後も色々ありながらも結果、音楽の道から離れることなく、今もこうして音楽活動を続けて来れたのも、そのコンクールで頂いた言葉と出来事が大きな支えとなっているのかもしれません。

なぜか最近よく、その出来事を思い出していました。

今日は新月・・・内に秘めた思いや情熱をもって何か新しい事を始められる方々、または今まで変わらず続けられた事に新たな思いで取り組んでいこうと決められた方も多いのではと思います。

どのような行動にも、そこから知る恩恵は必ずあり、多くの方に称賛される喜びも、もちろんありますが、自分の魂や深い部分が満足したときの喜びは、それ以上に、これからの人生への大きな導きになることを応援の言葉としてお伝えできたら幸いです✨